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「沖縄の伝統を守り続けた金城次郎の琉球陶器」2016/11/28

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琉球陶器は15世紀に東南アジアとの貿易によって南方系の陶技が伝来し、その後17世紀に朝鮮・中国、さらには薩摩などからも陶工を招いて技法を導入、それらが独自に発展して現在に至るという、様々な要素や技法が織り交ぜられたやきものです。沖縄の窯場を代表する壺屋窯では、透明釉・緑釉・青銅・黒釉・藁灰釉などの釉薬が用いられ、線彫・刷毛目・飛鉋・筒描・赤絵など、独特で素朴、且つ明るい趣の作品が作られています。釉薬の原料となる珊瑚石灰岩など、沖縄の素材が活用されていることも、琉球陶器の大きな特徴です。
それまで日用雑器としてしか知名度がなかった「琉球陶器」に独創性を盛り込み、一躍全国的に知られるようになったきっかけを作ったのが、沖縄生まれの陶工、金城次郎です。


12歳で壺屋の見習い


金城次郎は1912年、製土職人の父の9人兄弟の長男として那覇市与儀に生まれました。与儀の隣町である壺屋では幼少の頃から遊び回り、小学校卒業後は壺屋の代表的な存在であった新垣栄徳の工房で見習いとなりました。そんな金城少年の人生をも変える運命的金城次郎4な出会いが、後の「生涯の師」と仰ぐ濱田庄司との出会いです。
濱田庄司は1924年12月に新婚旅行で壺屋を訪れ、翌年の3月まで壺屋で制作活動をしていました。この濱田の宿泊先に度々陶土を届けに行った事が出会いのきっかけとなり、その出会いは金城自身に壺屋陶器の良さを認識させるとともに多くの刺激を与えました。


ダイナミックな魚や海老文


36歳で独立するまで新垣栄徳の工房では陶土の調整から蹴轆轤による成形、伝統的な装飾技法、登り窯による焼成まで、一貫工程を通して伝統的な壺屋焼の技法を体得しました。その伝統技法を踏まえて、白化粧掛けを施した素地の上に、線彫りで躍動感溢れた魚や海老、蟹などの文様を彫り、藍・飴などの色釉を差した素朴で温かみのある作調は、県内外の幅広い支持を受け、濱田庄司のみならず、河井寛次郎や民藝運動の主導者でもある柳宗悦でさえも魅了させました。

60年間琉球陶器一筋で制作を続けてきた金城氏は金城次郎3生前、「自分の作品に満足することはない。この仕事はやればやる程、やらなくてはならないと思うことが増える」と語りました。戦後は壺屋が市街地となり、登り窯の焼成が公害問題とされた為、1973年に読谷村に登り窯を築き、琉球陶器の保存と発展に尽力しました。強い信念のもと沖縄へのこだわりを持ち続け、晩年も衰えることなく多くの名品を残しました。

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