コラム
「呉須と金彩の新境地を切り開いた 近藤悠三」2016/12/12
骨太の幹に大輪の花をあしらった梅の図。大胆な構図でおおらかに筆を走らせるキャンバスは、平面のそれではなく、どっしりとした陶胎そのものに描いている・・・。
明治35年生まれの近藤悠三がこの絵画的表現技法を確立したのは戦後の事でした。「野山の果実や野菜の形が自然ながら有している生命感、あのみずみずしさ、力強さ、やさしさ、そしてきびしさを、陶器もまた求めてくる」と語ったように、自身が描く柘榴や梅、山水などをモチーフとした雄渾な絵画的筆致に、時に釉裏紅彩を併用する場合も含めて、呉須の濃淡の階調による独自の境地を示しました。
この染付に金彩を組み合わせるという技法は、それまで誰も試みる事のなかった技法でありました。
その境地まで辿り着くのには近藤自身の並々ならぬ気概と努力が存在したのでした。
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