
コラム
「ハンディを抱え指先の感覚だけで作陶 藤原雄」2017/03/20

備前焼は岡山県備前市の伊部地方を中心に、平安時代末期ごろから近隣の須恵器の生産を基盤として創始された陶芸です。釉薬を使わず、褐色の素地を長時間焼き締める為、焼成中の窯の中で自然にできる模様や色・肌合いが魅力なやきものです。この備前焼で重要無形文化財に指定された陶芸家は4人いますが、その中の一人である「藤原雄」は、左目は失明してまったく見えず、右目も弱視(視力0.03)であるというハンディを負っていたものの、驚くべきことに指先の感覚だけで作陶し、完璧なまでのフォルムの壺を精力的に作り出していました。
(現・備前市)に、備前焼の人間国宝であった父・藤原啓の長男として生まれました。中学・高校時代は新聞部や文学部の部長を務め、文学や音楽に熱中した青春時代を送りました。高校卒業後は明治大学文学部日本文学科に入学し、明大文芸の同人となり短編作品などを発表しました。
父の助手の仕事を手伝うようになり、その合間に自分の作品も制作しましたが、初めの5年間は焼く前に全て父に壊されていたといいます。
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