
コラム
「熟練の技【吹分】を駆使 齋藤明」2017/12/04
鋳金の重要無形文化財保持者、齋藤明は、伝統的な技と豊富な経験で二種類の金属を融合させ、それまでになかった新しい形を生み出した近代感覚に溢れる金工家です。最も影響を受けた人物は同じく重要無形文化財に認定された高村豊周で、蝋型を始めとする技法などの指導を受けてそれを高度に体得し、生涯鋳金一筋に歩みました。
営む金工家の父斎藤鏡明の長男として東京・西巣鴨に生まれました。父鏡明は佐渡出身で、佐渡の本間琢斉や宮田藍堂に鋳金を学び、1909年に東京に移り巣鴨に工房を設立。蝋型鋳造の技術に長け、他の金工家達からも一目置かれる存在でした。鏡明の工房には、佐渡の金工家達が寒さで仕事のできない冬の季節に東京に出てきて、展覧会に出品するための作品を制作する拠点となっていました。
1949年、齋藤明が29歳の時に後の人間国宝高村豊周に出会いました。高村の作品に感銘を受けた斎藤は、以来、高村に師事し、さらなる技法や造形表現の指導を受け、伝統的な蝋型を始めとする技法を高度に体得。高村が死去するまでの23年間、高村工房の主任を務め、金工家としての実績を着々と積み重ねていきました。
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