大樋焼は江戸の初期に加賀藩が茶堂として裏千家四代千宗家を招いた際に、楽家に学んだ陶工師の長左衛門も同行し、大樋村に窯を築いた事が始まりといわれ、現代まで続く名門です。轆轤やへらを使わず、手びねりで作られる温かみのある茶碗は古くから茶人たちに愛されてきました。十代長左衛門は1949年に東京美術学校（現東京藝術大学）を卒業後に作陶の道に入り、数々の名品を残しました。


【系譜】
初代　　　大樋長左衛門（芳土庵）　　　　　　　1631年-1712年

ニ代　　　大樋長左衛門（芳土庵）　　　　　　　1686年-1747年

三代　　　大樋長左衛門（勘兵衛・芳土庵）　　　1728年-1802年

四代　　　大樋長左衛門（勘兵衛・土庵）　　　　1758年-1839年

五代　　　大樋長左衛門（勘兵衛・土庵）　　　　1799年-1856年

六代　　　大樋長左衛門（朔太郎）　　　　　　　1829年-1856年

七代　　　大樋長左衛門（道忠）　　　　　　　　1834年-1894年

八代　　　大樋長左衛門（宗春・松涛・以玄斉）　1851年-1927年

九代　　　大樋長左衛門（陶土斎）　　　　　　　
　　　　　1901年　石川県金沢生まれ　八代二男　本名：長次郎
　　　　　1934年　九代大樋長左衛門襲名
　　　　　1958年　日本工芸会正会員
　　　　　1977年　裏千家15代鵬雲斎宗室より「陶土斎」の号を授かる
　　　　　1986年　逝去

十代　　　大樋長左衛門（陶冶斎）　　　　　　　
　　　　　1927年　石川県金沢市生まれ　九代長男　本名：年朗
　　　　　1987年　十代大樋長左衛門襲名
　　　　　1999年　日本芸術院会員就任
　　　　　2011年　文化勲章受章
　　　　　2016年　大樋陶冶斎を襲名

十一代　　大樋長左衛門（年雄）　　　　　　　
　　　　　1958年　石川県金沢市生まれ　十代長男　本名：年雄
　　　　　1981年　玉川大学文学部芸術学科卒業
　　　　　1984年　ボストン大学大学院修士課程修了 (M.F.A.)
　　　　　2007年　裏千家坐忘斎御家元より「宗炎」の号を授かる
　　　　　2016年　十一代 大樋長左衛門襲名