
コラム
「布目象嵌を深化 彫金家 鹿島一谷」2017/09/11
鹿島一谷は曾祖父の代から続く布目象嵌を専門とする彫金の家に生まれ、最後まで彫金家としての人生を歩みました。彫金本来の造形美を追い求め、それを世に示すことで、それまで技術中心であった彫金の価値観を覆しました。
に鹿島一谷光敬の長男として生まれました。14歳で彫金家関口一也・真也父子に師事し、彫金・象嵌・色絵・台付・着色・鑞付・合金配合法等を学びました。20歳の時に父が他界したために家督を継ぎ、帯留や簪などの装身具を手掛けるようになりました。しかし、ただ同じ形を作るだけのいわゆる「数もの」に飽き足らなくなった鹿島は、水指や花入といった器ものに取り組むようになり、帝展などで出品するようになりました。
布目象嵌とは、素地となる金属の表面に目切鏨で縦・横・斜めに布目状の筋を切って、その上から他の薄い金属を木槌などで叩き込んで張り付ける金属の加飾技法の一つです。元々はポルトガル人によって持ち込まれ、鉄砲に施された装飾起源説が有力です。「鉄地への金銀装飾技術」は流行し、武器・武具へ広く応用されましたが、明治9年の「廃刀令」によって武器・武具への需要が減衰。以降装飾品や美術工芸品にその技術が転用されるようになりました。
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