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「芦屋釜を現代に再現 角谷一圭」2017/07/24

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茶の湯釜の分野において人間国宝に認定された角谷一圭は、途絶えていた「芦屋釜」を現代に甦らせた釜師です。「芦屋釜」は筑前芦屋津金谷(福岡県遠賀郡芦屋町中ノ浜付近)で作られた茶釜で、「真形(しんなり)」と呼ばれる端正な形と、胴部の優美な文様が特徴です。15世紀後半に最盛期を迎えた後、侘茶の普及により京都の茶釜にその地位は取って変わられ、江戸時代初期にはついにその制作が途絶えてしまいました。しかし美術品としての評価は今でも高く、現在日本では8点の芦屋釜が重要文化財に指定されています。その芦屋釜を現代に蘇らせた角谷一圭とは、どんな人物だったのでしょうか。





芦屋釜に導いた二人の師

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角谷一圭は1904年、大阪市東成区深江に鋳物師である角谷己之助の四男として生まれました。小学校に入学した頃から父の仕事を手伝い、21歳の時に大阪工芸展に出品した鉄瓶が受賞し、鋳物師として本格的な創作活動に入りました。


しかし、終戦を迎えた1945年、角谷は制作に行き詰っていたました。ちょうどその頃、生涯の恩師である、鋳金家の香取秀真と古釜研究家の細見古香庵に出会います。
香取からは鋳金の指導を受けた他芦屋釜の制作を勧められ、茶釜の蒐集で知られた細見からは、重要文化財を多く含む名品に触れる機会に恵まれました。さらに古芦屋釜の補修を任されたのをきっかけに、優美で格調高い芦屋釜の復元が、作家としての大きな目標となっていったのでした。


多趣味が秀作を生み出す

103二人の恩師との出会いから芦屋釜へ方向を固めた角谷は、その後日本伝統工芸展で高松宮総裁賞と朝日新聞社賞を受賞、他にも数々の賞を受賞し、1976年に勲四等瑞宝章受章、1978年には重要無形文化財に認定されました。

「仕事ばかりやったら作品が固くなる。いろんな趣味を持ちおしゃれもせんとな」と語った角谷は、仕事の合間に能や文楽、日舞から茶道・華道まで、様々な伝統芸を嗜み、80歳近くになってからは書道の手ほどきを受けるなど、94歳で往生するまで、常に何かに挑戦することを楽しんでいました。
本業以外に趣味を持ち、様々なジャンルの優作を見て感動する心が、本業への創作意欲を掻き立て、自身の秀作へと還っていったのかも知れません。


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