岡山県備前市の入り江のほとりに生まれた藤原啓は、幼少より文学を志し、博文館編集部に勤める傍ら早稲田大学で英・仏・独文学を聴講し、絵画や詩を学びました。自己の文学に限界を感じ強度の精神衰弱に陥り帰郷、金重陶陽の指導を受け陶技を会得しました。「絵画も彫刻も音楽もわからなければ真の芸術家にはなれない」との自らの教訓を生かし、古備前の伝統技法を基礎に土味を生かした素朴でおおらかな作品の創作に意欲を燃やしました。「陶酔」「豪放」「無心」といった言葉を愛し、牧歌的で独特な新感覚の作風は、日本陶芸界に強烈な影響を与えました。


1899年　岡山県備前市生まれ
1938年　三村梅景に師事
1948年　国の指定による丸技作家の資格を受ける
　　　　 金重陶陽・北大路魯山人に師事
1954年　岡山県指定無形文化財「備前焼」保持者に認定
1958年　日本工芸理事就任
1962年　プラハ国際陶芸展受賞
1970年　重要無形文化財「備前焼」保持者に認定
1972年　勲四等旭日章受章
1983年　逝去